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でやっている歌舞伎自体も地方さんがいない。地方でそういう邦楽関係のものをやると、おっしゃるとおり全部テープなんですね。例えば、熊本なら熊本で、東京から地方さんを全部呼ばなければならない。大変な費用なんです。私は、そういうときには、補助する機関があるものですから、そういうときには全額補助してやりなさい、今、全部がテープでやっているのを、あえて東京から地方さんを呼ぶ、その地方さんが、もうほとんど中央にもいないという状況なんですね。
ですから、熊本の例をとりますと、清和村に「文楽館」という日本でただ一つの村立の文楽劇場がありますが、そこは倉岡君という若い人が淡路へ行って2年間修行してきた。そして、今、弾き語りができるようになった。それで今やっている。次がもう1人行くんです。そうすると、村が村立の劇場まで建てて、村有林から木を切ってきて釘一本使ってない劇場でございますが、そういうものをつくろうとする。若い人が、それでは自分がやろうといって出て行って、何もできなかった子です、彼が2年間、物すごい厳しい修行に耐えて帰ってまいりまして、それでやっているんです。今やもう立派な太夫に成長しております。
ですから、そういう伝承芸能そのものの中にあるたくさんの技術、おはやしとか舞とか踊り、それぞれの技術の継承がばらばらになってしまっている。昔は、舞えた人は同時に太鼓も鉦もできたんですね。ところが、今は一つしかできないんですね。太鼓をたたく人は太鼓しかたたけない。ですから、昔だったら踊りも踊れる、お神楽もできる何でもできた。そのようにならなくなってきて、いなくなった上にさらに人が必要になってくるという形になってきているのが多いですね、この伝承芸能の場合。それが余計困難な形にしております。
私も実はおととい、ある山の中の獅子舞をみてきたんです。とても激しい舞なのです。そのために、2人舞、2人立ちなんですが、途中ですっと人がかわってやるわけです。そのかわる人が、昔は何組もかわりましたから幾らでもできたのが、もう3組しかいないんです。子供も、やっと今、保育園の子をかろうじて入れて、獅子の前で獅子をじゃらすんですが、そのようにしているんです。それでも、私がこの間行きましたのは夜でしたが、神社の境内に大きな火をぼんぼん燃してくれまして、そこでみせてくれたのです。そういうときになると村じゅうの人が出てきて応援してくれるんですね。
ですから、先ほどから両先生のお話のように、そこの村の人たち、町の人たちがどういう目で伝承芸能をみているか、自分たちの財産をどうみているか。そこのところの差というのはかなりあるんではないですか。
中坪委員 私はその点を、民族芸能というのはその町にとってどのような地位にあるのかということをちょっと調べてみました。例えば、国指定の重要無形文化財、民俗芸能の

 

 

 

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